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フリースクールの費用に公的補助は?文部科学省と地方自治体による対応の違い

2021/07/16

フリースクールへの国からの補助は無いのが現状です。
しかし地方自治体によっては補助金制度があるところも少数ながら存在しています。

フリースクールの費用は全国平均で月額3.3万円と文部科学省の統計にあります。
家計への負担は大きいと言っていいでしょう。

実際にご家庭でかかる費用については、こちらで詳しく説明しています>>

国や地方自治体から少しでも補助があると助かりますね。
その現状と今後の見通しについて見てみましょう。

1. フリースクールへの公的補助の是非
なぜ国からは補助金が出ないのに、地方自治体では出る場合もあるのでしょうか。

そもそも、国であれば地方自治体であれ、補助金の原資は税金です。
それは私たちが働いて収めたお金です。
だから税金の使い方には正当性と公平性が求められます。

つまり、以下のようなことが補助金を支出する条件になります。

公共の福祉に資する価値ある事業である
安全基準などを満たす健全な運営が行われている
では、これらのポイントに基づき、実際に国と地方自治体ではどのような補助金制度があるかを見てみます。

1.1 国からの補助金

国から補助金を出す場合、それは基本的に国が法律として定める必要があることになります。
そして、フリースクールに対して国が経済的支援をする法律は無いのが現状です。

第一の原因があります。
それはフリースクールの定義が無いからです。
この定めが無いことにはお金を出す対象も正当性も定まらないのです。

フリースクールの名称として色々な分類がありますのでご覧ください。

フリースクール
フリースペース
デモクラティックスクール
オルタナティブスクール
サポート校、etc.
他にも名称があるようです。
それぞれの違いは?…私にも分かりません。
なぜならそれぞれのカタカナ言葉の名称に明確な定義が無いのですから。

では、フリースクールの定義や基準を国が定めたら問題が解決するかといえば?
おそらく難しいでしょう。
そもそもフリースクールは学校という国の基準にとらわれず自由な教育を行うことが特徴だからです。

実際、私が話したフリースクールの経営者は口をそろえて、こう言っていました。
「国にしばられるくらいなら、苦しくても自分だけの自由な運営を続ける」と。

こうした事情がありますので国が直接にフリースクールを支援することは考えにくいと思います。

では国が家庭を援助するのは?
やはり最低限のシバリは必要になるでしょう。
安全管理の基準とかスタッフの登録とか「きちんとした運営」の確認が求められるでしょう。

フリースクールの全国的な団体は幾つかあります。
しかし加盟しているフリースクールは全体のほんの一部です。
フリースクールの統一的な基準が定まるのは、まだ時間がかかると考えたほうがよさそうです。

1.2 地方自治体からの補助金

地方自治体では地方の実情に応じて補助金制度を条例で定めることができます。

2021年春においては地方自治体へのフリースクールへの補助金がニュースとして取り上げられる状態です。
まだまだ一般的ではありませんね。

具体例として福岡県の「福岡県フリースクール支援事業補助金」の補助対象施設についての規定を以下に抜粋します。

---
(1)不登校児童生徒に対する相談・指導を行う
(2)施設の設置者は、非営利報法人(学校法人を除く。)
(3)1年以上の活動実績
(4)原則として、複数の児童生徒を受け入れていること
(5)施設の利用料が著しく営利本位でなく、入会金、授業料等が明確
---

この補助金は家庭への直接的な金銭の支援ではなく、フリースクールの運営そのものの支援です。
なお、1年以上の活動実績、を除くと生徒数や料金などについての具体的な数値基準は無いですね。

佐賀県の杵島郡江北町では以下の助成制度を作りました。
(2021年4月23日の佐賀新聞ニュースを参照)

民間のフリースクールや同様の通信教育で学ぶ小中学生が対象
入学準備金2万円を支給し、通所・通信費として月4万円を上限に助成
県の支援センターに通う子は交通費として月2万円を上限に助成
こちらは家庭への直接的な支援です。
今年度予算140万円を予算化したということで、こういう小さい規模だから実現できたとも言えるでしょう。

補助金は各自治体の裁量ですので、徐々に広まる可能性はあります。
しかし補助金が出る環境としてまずフリースクールの認知度が上がることが必要と感じます。

2. まとめ

フリースクールに国からの補助金は無いのが現状です。
まずフリースクールの定義が決まっていないことが大きな原因です。
また国の基準で縛られない自由な教育をフリースクールは目指しているという矛盾があります。

家庭への補助ということは有りえます。
しかし、やはり安全基準など最低限のシバリは必要となるでしょう。
これらのハードルを超えるにはまだ時間がかかると見たほうが良いでしょう。

地方自治体によっては地方の実情に応じてフリースクールへの補助金制度を条例で定めているところもあります。
しかし、それがニュースになるほど全国でもほんのわずかな自治体が行っています。
補助金が認められるには、まずフリースクールの認知度が上がる必要があるように感じられます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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